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「ごめんなさい、休憩も取らず、もうお昼になっちゃうね?」
彼女が、申し訳なさそうに言う。
みんな、そんなこと忘れてた。
「ちょっと確認事項もありますので、皆さん休憩を済ませたら、またこの部屋に一度戻って来てもらっても良いですか?」
そう言って、先に部屋を出て行く彼女。
パタン、とドアが閉まったタイミングで、俺たちは、はーー、と息を吐く。
「わたし、雛乃さんのファンになっちゃった!!」
興奮した面持ちの、真野。
あんな女性になりたーーい!と、叫ぶ。
「彼氏とか、いんのかなぁ?」
と、川野。
すかさず、真野が言う。
「あったり前でしょ!?右手薬指のリング、見なかったの?あれ、ココグランジュのペアリングだよ」
??となる、男達4人。
……はぁ、と溜息をつく真野。
「あんた達、学生の頃はそのツラだけでモテてたかもしれないけど、社会人になったら通用しないからね?
ココグランジュはね、オンナノコが今いっちばん憧れる、ジュエリーブランドなの!
ココグラのペアリングなんて、オンナノコの夢のまた夢!何種類かあるけどあのタイプは20万くらいだね」
レディース の方だけでね?と。
ちなみにシンプルなメンズの方も、そのグレードだと15万近くするらしい……しかもペアリングだから、ペアでしか買えないらしい……
「あれだけの良い女、捕まえたかったら、それくらい当然!あんたらなんて、相手にもされないわよ?」
フフン、と勝ち誇ったように笑う真野。
「てことで、トイレ行ってくるわ」
言いたいだけ言って、去って行く。
残されたメンズ、ちーーーん。
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