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息が唇にあたる距離で、カズマくんはそんなことを言った。
ボクは緊張しているのか、興奮してもいいのか、自分でも分からなかった。ただ、カズマくんが許してくれたみたいで安心した。
カズマくんはボクと身長を合わせるために背中を丸めて、壁に手を突いて、しばらくキスしてくれた。
くちゃ、くちゃ、と唇や舌が鳴る。さっきベッドでしたのとは、明らかに違った。
何が違うのかはうまく説明できないけど、何か言いたいのをガマンして、代わりにキスでごまかしている感じ。思ったことは何でも言いそうなのに。
顔を離しても、ボクは何も言えなかったけれど、
「へへ。ユイトさんちっせーから、キスすんの大変」
なぜかカズマくんも照れくさそうに笑った。
シャワーがやっと、水からお湯に変わった。
「んしょ」
バスタブの底に膝を突いて、正座になった。体が大きいから、すごくきゅうくつそうに見える。
「ここ、乗って。対面座位みたいに」
シャワーを出しながら、たんたんと自分の腿を叩いて当たり前みたいに言ってくる。脚を開いて、抱きつく形に。
「恥ずかしい……」
「そのリアクションおせーって。ユイトさんトロすぎ」
さっきまでのカズマくんに戻っていた。運動部っぽく、何でもテキパキやろうとしてくる。
「うぅ……」
急かされながら、カズマくんの膝にまたがった。硬い筋肉が当たる。
お尻にシャワーを当てられて、指が入ってくる。
声が出ないようガマンしながら、しがみついた。
「ユイトさん力抜いて。オレに全部あずけていいから」
そう言われても、落ちそうな体勢だから難しい。密着して、できるだけ言われた通りにした。
カズマくんの指は長くて、自分でも届かない所までさわられる。人差し指と中指の2本を入れて、開いて、中までかき出して洗ってくれた。
ああ、もう、何なんだろう、この状況。カッコ悪いどころじゃない。フルネームも知らない子に、全部知られてしまったみたいだ。
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