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カズマくんはボクの膝を固定して、ゆっくり進めてくる。
もうすでに、こめかみから汗が流れているのが見えた。こんなに筋肉があれば、代謝もいいみたいだ。
「はあ……けっこーキツいね、遊んでるクセにっ」
そう言われて、心臓がギュッとちぢんだ。体にも力が入ってしまう。
「う……」
事実だから、反論できない。情けない声しか出せない。
ついに、じわっと涙が出てきた。
イヤだと言うよりは、恥ずかしいのと、どうしようもない状況に。
「え! ちょっ、ヤバっ! ごめんごめん」
カズマくんが慌てて言って、ボクの顔を撫でてくれた。
「ユイトさんいいよ、いい。さっき皆といた時より今のユイトさんの方が、全然いい」
目をまっすぐ見て、曲げた指ですりすりさわられる。
何だろう、この感じ。ドキドキするのに、安心する。誰かに褒められて、嬉しいのもあった。
「んしょ」
カズマくんが力の入った声で言って、もっと腰を押し付けながら、体を倒してきた。
胸が当たるほど近い。赤い髪に目が行くけど、やっぱり、好みの顔だ。
「ん、んっ」
下半身はできるだけ力を抜きつつ、上半身ではがんばって抱きつく。嫌がられないか、拒まれないか、賭けだけど、さっきキスしてくれたし。
そう思っていると、カズマくんはまたキスしてくれた。唇じゃなく、耳に。チュッと音が大きく聞こえて、それから、べろーっとなめられた。
「ひゃっ、あ!」
裏返った声が出てしまう。
「すげー締まる……あは」
カズマくんの笑った吐息まで耳に当たって、ビリビリしびれる感じがした。
それから、しがみ付いているボクの肩に、下から抱き上げるように手を回してくれた。
「最初ゆっくりめにするから……痛かったら言って」
本当にガサツなら、すぐにガツガツ動いてもおかしくないのに。何回かゆるゆると動いて、具合を確かめてくれた。
「はっ、はっ……ああ……」
それだけで、息が上がってくる。
「ユイトさん、こすれるだけでヨくなってんでしょ。開発しすぎ」
どんどん感じやすくなっているのも、バレていた。事実だし、もう話す余裕もなくて、言い訳できない。
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