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第一印象はムーさんと似ているけれど、実際のカズマくんは、ぜんぜん違った。
ムーさんしか知らなかったから、それが普通だと思っていたけれど。“こーゆー風に”されて初めて、ボク自身はもっとたくさん、激しくされたかったのかもと、気が付いた。
あの人が悪いとかではなくて、ボクがガツガツしたくてもできなかっただけで、それを、ひょっこり現れたカズマくんが叶えてくれた。
単に、それだけのことだ。
カズマくんは使ったティッシュを捨てると、
「ちょい休憩」
と言って、べったりボクにくっついて来た。
せっかく拭いてきれいにした体なのに、腕を回して、抱き着いて、隣に寝転がって。脚までボクの体に絡めてくる。
さっきまではテキパキと片付けしたり、ガツガツとエッチしたり、またテキパキと体を拭いたり、していたけれど、急に、甘えられているみたいだった。
体は大きいし、運動部だからデキるけど、やっぱり後輩だからなのか、ちょっとカワイイ。
「……イヤじゃない?」
小さく、低い声で、聞かれた。
「なに? イヤじゃないよ」
同じ枕に頭を乗せたまま、ボクが聞き返すと、カズマくんは下に視線を逸らした。
「オレさ、こんな見た目だし、普段もそんなキャラだから……こーゆーの、いいって思われなくて」
「こーゆーの?」
「だから、何てーの、終わったらもうパパッと帰る……的な? 遊んでそうなキャラ、つらぬけよって」
「あー、そう……なのかな? あんまり思わないけど、ボクは」
昨日初めて会ったし。と言うのは置いといて。
カズマくんは枕に顔をすり付けるように、目元を隠した。
「……オレ、これでフラた事あっから。ちょいトラウマ」
「そ、そっか。えーっと……」
慰めてあげたいけど、何と言えばいいか分からなかった。恋愛経験も多くないし、そんなボクが何を言っても、説得力がないように思えて。
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