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お箸を置いて、正座する。
「……へ、変な意味じゃないよ。誤解しないでね」
カズマくんは詰め込んだ口をモグモグ動かしながら、じっと見てきている。
「その、スポーツしてる人……が、好きです」
分かっている。
カズマくんが言ったのは、“コーフンする”というだけで、一緒にいたいとか、エッチ以外の事をしたいような、そういう意味での、好きではない。
でも、これがボクの精一杯だった。本人のことを言っているとも取れるし、そうじゃないと言い逃れもできる。それに、ちゃんと事実だ。
カズマくんは噛んでいたのを飲み込んだだけで、表情は変わらなかった。
「変な意味に聞こえる。要はレスリングとか競泳パンツ好きって事っしょ? ベタすぎ」
ストレートに、誤解されてしまった。
何とかうまい説明を探す。
「じゃなくて、えっと、なんか……イイ体って言うか、こう……筋肉があって、汗かいてる所とか、健康な感じって言うか」
「マジメに変な意味じゃんよ。言い方のせいで余計ヤラシーんだけど」
「うー……」
聞いてきたから正直に答えただけなのに、やっぱり、言いたい放題言われてしまった。
ボクの好みが、自分に当てはまっているとは、思っていないらしい。それが良い事か、悪い事かは、何とも言えない。
「いいよ、なに今さら照れてんの。オレ別にユイトさんがヘンタイでもむっつりでも気にしねーって!」
背中をバシバシ叩かれて、今度こそむせた。
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