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苺と君 Ⅰ →Mei
【苺と君 Ⅰ 初恋って面倒 →Mei】
私と清水理久人は小学校からの幼馴染である。所謂、理久人は陽キャでスポーツも出来るカッコいい男の子だった。
私の家は他の家とは少し違って、母がお茶の先生をしているので、茶室がある大きい家に住んでいる、大金持ちまで行かないが、金持ちである。
小学校の頃から理久人は人目を引く存在で、少なからず、私の目も引いていて、高学年には、好きだったが、私は中高一貫へのお受験が決まっていた。
理久人ともさよならであるが、この胸の痛みと苦しみてもお別れなら、それでいい。
中学は皆と離れ離れになったが、理久人もお受験組と途中で知り、少し嬉しい気持ちで、同じ中学へ進んだ。
胸の痛みと高揚は、理久人が成長して格好良くなって行けば行くほど、膨らみ、理久人の事を皆が仇名で理久と呼ぶので、私も理久と呼んでみたり、好きすぎて、好きと言えないもどかしさの最中に、中2の終わり理久人に学年で1番可愛い子が、彼女になった。どちらが告白したかは、知らないし、聞きたくもなかった。私だって、可愛い方なのにな、と目を細めて、幼馴染代表として、私は作り笑いで、祝福したが、家のクローゼットの中で大泣きしたのを、私以外誰も知らない。
時は巡って、21歳の時に友達が結婚した。小学生の時の女友達が5歳歳上のフリーランスの男と結婚して、笑顔だったが、SNSサイトを見る限り、彼は代表取締役ではあるものの、父親に聞いてみたら父親は笑って「肩書きだけね。その代表取締役の役職は馬鹿でも講座を受講して、まともなやつを下におけばどうにもなるよ」と言ったので、代表取締役の妻?と言う肩書きに喜んでいる友達には微妙な感情を抱くが、本人は満足そうで、周りは心から笑ってない。
「あの、肩書きって多いん?」不意に声をかけてきた男。「理久人」理久人もこの大きい結婚式に呼ばれていたらしかった。理久人に彼女が出来て、彼女の途切れない彼とは、少し遠い存在になり、私も彼氏を途切れさせなかった。理久人は笑った。「大学の先輩も持ってる」そりゃ、講座受ければ取れる資格だから。
二次会。皆は同じ小学校と中学校に行ったから、会うのは数年ぶりでも、私と理久人は受験したのでSNSを介さずに普通に会うのは数人を除いて9年ぶりである。そう言えば、冗談飛ばしてたり、好きな子をからかってた男の子も酒を飲んでいる。
勿論、童貞でもない。あ、酒が入ってる所為で変に邪な視線が動く。「橋本、この後、ど?」昔のクラスメイトからのお誘い。「予約済み」そう、理久人は私の腕を引いて胸に寄せた。
今なら、この、赤い頬も酒に酔ったで通じるし、体も酒の勢いで通じるのだ。
私が初恋の男に抱かれて感じすぎてるのか、理久人が上手いのか分からないけれど、しがみついた体を離すのが嫌で、それでも勝手に朝陽は登り、帰り際に言う「また、理久人のマンション来てもいい」「何か、持ってこいよ」
お菓子や、夕食のテイクアウトの時は笑って雑談して終わる、理久人と私の時間。
でもズルいことに理久はたまたま持って行った旅行先で買ったアップルワインの時に私がじゃれついて、押し倒すと、何も言わずに押し倒されて、くれた。お酒が一緒なら、彼女持ちの君に抱かれてもいいんですか。
お酒を持って行った日のみ、しかも私から迫った時のみ、私達は体を重ねた。
お酒って都合がいい。
後で、雑談の延長で、理久人が合鍵をくれた。
彼氏は、います。理久人にも、彼女がいます。
初恋って面倒くさいです。
相手が格好良く発育してればしてるほど、面倒くさく、嫌いです。
都合が良くて。理久に可愛い彼女がいるから、私も彼氏作ってさ、ねぇ、理久人。好き。これが言えたらどれだけ楽か分からないけれど、この、気持ちの良い体温には戻れない。だから、長年の恋情は吐露できない。
あざといでしょうね。
わざと、毎日じゃなくて、1週間に1度程度の頻度でお酒を持ってくる、幼馴染。
24歳の時に結婚を申し込んできた、金で何でも手に入れてきた男に指輪を渡され、“彼女達とは別れたくないけど、妻には君が欲しい”と滅茶苦茶苛立つプロポーズをされて、笑顔で別れを告げた時に、ああ、どうでもいいと、投げやりな気持ちで理久人のマンションにメッセージアプリの予約なしに入って、勝手に持ち込んだお酒を飲みながら、家主がいない1LDKのマンションで暑いのにエアコンのスイッチが分からなくて、服の下を見るとキャミソールで勝手に脱いで、キャミソールにブラジャー姿でお酒を飲んでいると、鍵の開く音がして私を見た理久人は「服を着ろ」と言うどころか「暑いね」そう言ってエアコンのリモコンを引き出しから取り、スイッチを入れる。
当たり前のように、理久人は私をソファに倒して、抱いた。この姿はいいんだと私は内心で思う。
私は悪化して。
初恋の呪いはキスでは解けなくて、勝手に理久人の家に居座り、半同棲を暗黙の了解を得て、恋心なんて悟られないように、でも胸がきっちり盛れるワイヤー入りのキャミソールなんか着ていて、理久人のSNSに彼女は映らないくせに、きちんと、彼女のSNSには理久人は映っていて。
自分の感情が面倒くさくて、私を掻き乱す君も、好きすぎて、嫌いです。
私達の関係はお酒を飲むのが合図みたいに情事は始まって、終わる。
えっと、セフレに近い。体は、近くて、心は、遠い関係。
コンビニで、イチゴチューハイを手に入れた日に運命が変わるとは、レジでクレカ決済をしていた時の私は知らない。
ねぇ、理久人、本当に初恋って面倒くさい。
寧ろ、理久人が格好良く成長して、側にいて、それでも私はこの体温を逃す気がない私の感情も面倒くさい。
私の主導権で始まるセックスは最後には理久人に主導権が譲渡されてる。
今日は違って、セックスの後に理久人がメンズのカーディガンを私に被せると言う「もう家にくるな」
そう言えば、互いに26歳で結婚適齢期である。結婚したい女が出来たのだろうか。そう言えば私は金持ちの彼氏と別れた事を告げていない「彼は金持ちだけど、彼女いるんだよね」そう言いながら私が金持ちの彼に選ばれた理由を言った。「後、外見な。芽依は可愛いだろ」
「は?」可愛いのは自覚してるし、金に不自由していないから自分も磨いてるけれど、でも目の前の男から聞いたのは初耳である。「は?ななにそれ、理久から初めて聞いた」照れて視線を泳がすと意外な言葉が降ってくる。
「幸せになりたかったら、俺にしとけ。」数秒の沈黙の末に「好きだ」と理久人は続けた。
私は照れ隠しした後に、初めて、理久人から本気で求められるセックスに羞恥心と心音が鳴り止まずに、理性を飛ばすセックスが気持ちよくて、怖かった。
情事の後に理久人の腕の中で時を過ごすが、理久人はアイフォンでメッセージのやり取りをしてる。彼女と別れているらしかった。「結婚相手は?」理久人の質問に別れ済みと答えると、聞いてみる。
「いつから、理久人は私が好き?」
「初恋」
「私もだ」
微笑む。長かった。初恋の呪いは綺麗に解けて愛に変わって、こんなにもあたたかくて、クローゼットで泣いた自分に恋情は叶ったと報告してあげたくて。
「愛してる」
ずっとずっと愛が続きますように、祈る。
END
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