2人が本棚に入れています
本棚に追加
苺と君 Ⅰ →Rikuto
【苺と君 Ⅰ 初恋を拗らせて →Rikuto】
俺は初恋を拗らせて、何年だろうか。
今年、26歳になる俺は同じく26歳になる幼馴染がいた。当然、俺にも彼女は居るし、向こうにも彼氏はいるのだ。そんな事を考えながら仕事帰り。俺は外観で選んだお洒落なマンションにひとり暮らしをしていた。因みに、家賃高めの1LDKである。
ここに彼女を入れたことはない。だって、合鍵を持っているのは、俺を拗らすに拗らせてる、幼馴染だから。自分は部屋にあげてくれないが、幼馴染の女は合鍵を持っている。この現実が彼女にバレたら秒でフラれるだろう。
でも、お前が、好きなんです。そんな、事実を幼馴染である、橋本芽依に伝えたことは、一度だってない。
「お帰り、理久人」「芽依、お前さあ」
俺は溜息をつく。黒いキャミソールにショーパンって言う、超ラフな部屋着で、チューハイを開けてる。「ん?」彼女が返事をするが「季節限定、イチゴチューハイ、美味しいから理久にも買ってきた」とすっぴんの顔を無邪気に笑顔に変える芽依に俺はイチゴチューハイに手を伸ばして、「そりゃどうも」と受け取った。
甘い。イチゴチューハイは、甘い。
「芽依、お前さあ」同じ、セリフだが、シチュエーションが違う。俺を床に押し倒した芽依、こんな弱い力なら押し倒されないことも可能な俺。俺は何時ものごとく、彼女のブラックのキャミソールの背から手を這わせる。
このキャミソールは俗に言う、カップ付きキャミソールなので、下は裸である。
多分、最後の1回は俺が上で、腰を振ってた。
服を着ると芽依に自分のカーディガンを被せて言う。「もう、家に来るな」
一人暮らしを始めた頃や二十代前半はこの関係を得だと思っていた。しかし、互いに結婚適齢期で、芽依に至っては結婚が決まっている。
友達の喫茶店で珈琲を落としてる俺とは違って、金持ちの男との結婚。
「私ってどう思う」「育ちの良い女」即答する俺、俺らは酒を飲んでいたらセックスしようみたいな、変な暗黙の了解であり、互いに酔ってないのだ。
芽依の家は祖父母が学校の教師で、父は外資系で、母はお茶の師範で芽依の実家には茶室まで、ある。
「彼は金持ちだけど、彼女いるんだよね」
つまるとこ、私はさ、家柄がそこそこ良くて、中高一貫の頭がいい学校卒業しててさ、本妻に置いておきたいんだってさ。と、芽依が続けた。「後、外見な。芽依は可愛いだろ」「は?」芽依が拍子抜けた顔で俺を見る。
あ、俺は1度も芽依の前で可愛いだとか、そう言う事を小1からの付き合いとは言え、言ったことはない。「は、なにそれ、理久から初めて聞いた」「可愛くなかったらセックスしないけど」俺の悪い癖的フォローが口から出る。
着替え終わっていた俺はソファに座ってる芽依の前に立つと黒髪に少し触れた後に言う。
「幸せになりたいなら、俺にしとけ。」
初めての告白。「好きだ」
沈黙、目を逸らす芽依、ダメ元な俺。「100%の幸せをくれるなら、理久人にしようかなー」と目を逸らしながら、顔を染めてる、芽依は可愛い。うん、と芽依は俺の方を向く。
「毎日、好きって言って」にや、と芽依が企むように言うので、負けず嫌いな俺は言う。「毎日、愛してるって言うよ」にやーと芽依は笑う。俺をどんと押し倒す芽依だが不意打ちに頭を打つ俺、「言った!今言って」無邪気にはしゃいでいる子供のような笑みで笑う、ああ、そう言えば、そんな表情を知っている時から、俺は芽依が好きだった。
押し倒されて、顔が近くにあって、目を逸らしたら馬鹿にされる嫌味なシチュエーションで、俺は1回横を向いて溜息をついた後、芽依の隙を見て、頭を引き寄せて耳元で言う「愛してる」
芽依の耳が赤い、今度はお前に不意打ちをやる。当たり前だが、芽依より俺の方が力は強いのだ。彼女の頭の位置をズラして、俺の顔の真正面に向けて両手で、芽依の頬を固定すると言う。「今度は、芽依が言え」
明らかに顔が赤くて、照れていて、「好きです」「違う」思いっきり、目を逸らすと芽依は言った。「愛してる」「いつから」「理久が背が高くなって男らしくなった当たり」それってずっと前ではないだろうか。
「難易度」「は?」「愛してるって言うより好きな男を押し倒す方が難易度高くない?」
「だって、理久は必ず可愛い彼女がいて」いや、お前より、可愛くないけど。「この関係が1言で終わるのが嫌で、言わなかった。」
芽依は続けた、「告白したら、関係が変わって、上手くいっても、この関係には戻れなくて、この関係が居心地よくて、逆にフラれたら、しんどい」
芽依の言葉には、俺も同感だったが、俺的には、芽依は俺の事を一回も男として見ていない、幼馴染だと思っていた。「理久人、好き。愛してる」
俺達はもう1度、セックスするが、今度は互いを意識しているので、恥ずかしさが増すかと言えば、恥ずかしいのは芽依だけで、俺は初恋を拗らせていた分、女の子らしい、つまりは非常に可愛い反応を見せる芽依が可愛くてたまらないので、俺に羞恥心は無く呆れるくらい言ってやろうと思う「愛してる」
ブランケットにくるまりながら俺の腕の中にいる芽依に言う。「そう言えば、結婚相手は?」俺は片手でメッセージアプリで彼女に別れを告げながら、別れようとしない彼女相手に文字を打っていく。「結婚しよう、でも彼女達とも別れないって言われた後に滅茶苦茶苛立って8ヶ月前に別れ済み」あ、こっちも別れられたとメッセージを確認して、思う。
「いつから、理久人は私が好き?」
「初恋」
「私もだ」
どこかで、すれ違って、拗れて。
でも実はそんなに、すれ違ってもいなくて。
「愛してる」
2人で言い合う。今度からは全ての時間を君と共有していきたい。
END
最初のコメントを投稿しよう!