6人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話:妃選び(3)
「どうしたんだよ、ナターリヤ?」
「今、ジェジェットの姿が見えた気がしたの?」
「ジェジェットだって?あいつがどうしてこんなところに?」
「とにかく行ってみましょう」
今度はナターリヤが逆にハンナの手を引いて、小走りに走った。
そこは路地の角に当たっていて、更に細い路地が伸びていた。その奥はまるで洞窟の細い入口のように真っ暗だった。
「こ、この中に入るのかよ?」
強気なハンナが、ゴクッと唾を呑み込んだ。
基本的に物静かなナターリヤだが、一度好奇心の虫が動き出すと、恐怖など吹き飛んでしまうのだ。
ナターリヤは躊躇いのない足取りで、真っ暗な細い道の中に入っていく。
「あっ、ちょっ……ちょっと待ってよ。ナターリヤ」
ハンナが慌てて、その後を追う。
最初のコメントを投稿しよう!