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気力がなくなるまで演奏していたため、いつの間にか眠っていたようだ。
「ん……」
次に目が覚めた時には日が落ちていて、家の中はすっかりと暗くなっていた。
桐杏は寧丸という名の皇子について考える。皇族には会ったことも、姿を見たこともない。皇帝・畏怖羅は国民の幸福などまるで考えていない、身勝手な人間の印象がある。畏怖羅はおそろしい人間だと、判大狗から教えられてきた。畏怖羅は寧丸の父親だ。彼の血を色濃く受け継いでいる可能性が高い。
「訓出と違って、嫌な人なんだろうな……」
今後、自分が特に関わる人間が非情となると、桐杏は会うのが憂鬱となる。
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