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同じマンションに住む赤ちゃん友達のじろくんがママとパパと一緒になって部屋に入ってくる。
「梓ちゃん、笑った?」
「二郎くんは?」
お互いの親が苦笑するなか、あたちたちはおしゃぶりでバブバブ言い合っていた。
(あーちゃん、わらってあげなよ)
(じろくんも)
流しているテレビから天使の笑顔赤ちゃんフォトコンテスト募集間近の宣伝が流れ始める。
じろくんママもあたちのママも素直だから天使の羽なんて手作りして、白い羽があたちとじろくんの背中に広げられたままになっている。
「ねぇねぇなにかいい感じじゃない?」
お互いの親たちがこちらを見てスマホを構える。
「バブバブ?」
(あーちゃん、わらう?わらったら、ぼくね、ボーロくれるっていわれたよ)
じろくん食べ物につられたのね
まぁ、ボーロ美味しいから
「バブバブ」
(じろくん、わらうよ)
あたち食べ物につられたわけじゃないからね?
*
お互いの白い羽に手を伸ばし笑う写真が撮れた。無邪気などこにでもある一枚。
「バブバブ」
(ボーロはたべれたけど)
あたちの渾身のスマイルとじろくんのボーロにつられたスマイルは一次通過することなく落ちた。
「バブバブ」
ぷにぷにの指があたちの頬をムニュとさせるじろくんが笑う。
(ママがわらってくれたからいいんじゃない?)
天使姿のあたちとじろくんの写真を見上げるあたちたち。
もう少し大人になった頃、今と同じように微笑むのだろうか?それはあたちにはわからない。
「バブバブ」
(じろくんのボーロくれる?)
「あずちゃん、二郎くんが来て嬉しそうに笑うんだから」
「もしかしたらあるかもね」
ママたちが指でなにかを作っているけどなんだろう?あたちが大きくなったらわかるのかな?
わかるときが来る日まで、じろくんと一緒にボーロを笑いながら食べていようと思うあたちなのでした。
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