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オレ「兄貴、ここにいたんすか」
兄貴「俺はいつも、ここにいる」
オレ「相変わらずクールっすね」
兄貴「俺をクールと言うな。すげぇと言え」
オレ「すげぇ」
兄貴「誰が」
オレ「兄貴が」
兄貴「フル尺で言え」
オレ「兄貴はいつも同じところにいてすげぇ。なんかおかしくないすか」
兄貴「気にするな。人生はざっくりでいいんだ。人間には、表の人間と、裏の人間ってのがいる」
オレ「おっといつものトーキング急カーブ。深そうな話っすね」
兄貴「表通りに建つ家に住む人間と、裏通の家に住む人間」
オレ「シンプル・イズ・ザ・ベスト!」
兄貴「ハワイに行ったことあるか」
オレ「おっとまたまた急カーブ。ありますよ」
兄貴「俺の前で嘘はつくな」
オレ「ほんとっすよ。子どもの頃ですけどね、家族と」
兄貴「オマエ、お坊ちゃんか」
オレ「普通のサラリーマンの家っすよ。ワイハくらいみんな行ってるっしょ」
兄貴「じゃあ俺ん家が貧乏だったのか」
オレ「いや、ハワイ行かなかったから貧乏ってこともないっすから。兄貴、泣かないでくださいよこんなことで」
兄貴「がんばふ」
オレ「すぐ泣くから」
兄貴「涙は・・」
オレ「心の汗!」
兄貴「しょんべんだ」
オレ「新説」
兄貴「泣けば尿漏れは少なくなる説」
オレ「兄貴、尿漏れするんすか」
兄貴「俺はさ、熱海には行ったよ」
オレ「人の話は聞かないトランプ方式だ」
兄貴「熱海って、ざっくりハワイだろ」
オレ「うーん」
兄貴「違うのか」
オレ「ハワイ、アタミ。どちらも3文字。まったく同じっす。区別がつかない」
兄貴「お前、心の中で俺を憐れんでるだろ」
オレ「そんなことないですよ。兄貴はどう転んでもクール、じゃない、すげぇっすから」
兄貴「俺は、転ばない」
オレ「すいやせん、そうっすね。兄貴は、スニーカー履いてスケートリンクで全力疾走してカーブでも転ばない!転ぶわけがない。なぜならば、スニーカーではリンクに入れないから。ウへへへ」
兄貴「ばかやろう、そういう話じゃねぇんだよ」
オレ「すいやせん」
兄貴「俺は、人生の話してんだよ」
オレ「人生!かっこいいっす。爺ちゃんもよく人生ってのはなぁ、って言ってましたけど、ダンプにはねられ10メートル飛ばされて、火葬場の窓ガラス突き破ってそのまま火葬されて死んじゃいました」
兄貴「すげぇな。そういう死に方には最大のリスペクトを、つーか、オレはジジイか」
オレ「まさか。兄貴はヤングっすよ」
兄貴「30がヤングか?」
オレ「ざっくり」
兄貴「35は?」
オレ「準ヤング」
兄貴「40は」
オレ「佳作ヤング。45が」
兄貴「オマエ、なんの話してんだ」
オレ「いずれにしろ、言うなれば兄貴は、永遠のヤンジャンです」
兄貴「マンガ本!」
オレ「すいやせん」
兄貴「俺は、明日、旅に出る。そう決めた」
オレ「ええっ!急カーブ切りすぎっすよ兄貴。死ぬかと思った。こえぇぇ」
兄貴「人間の価値は何かわかるか。俺は気づいた。容姿でも学歴でも金でもねぇ。もちろん、大根のかつらむきが出来るかどうかでもねぇ。深みなんだ。わかるか。そのためにはひとりになってとことん孤独になる。そして、自分と向き合う。人間の価値は、深みなんだよ。だからオマエと離れる決意をした」
オレ「すげぇ。すげぇっすよ兄貴。ところで、誰の受け売りっすか」
兄貴「俺がリスペクトする、トーマス先生の言葉だ」
オレ「あのトーマス・エジソンがそんなこと言ってたんすか」
兄貴「そっちじゃねぁ。機関車トーマス先生だ」
オレ「納得です。兄貴、機関車トーマス好きっすからねぇ、人間じゃないけど」
兄貴「トーマス先生から俺は色々なことを学んだ」
オレ「例えば?」
兄貴「遮断機が下りてる時は絶対に渡らない」
オレ「正しいっす」
兄貴「トーマス先生は俺の尊師だ、グルだ!」
オレ「聞き方によっちゃあ、通報案件っすね」
兄貴「♪たくさんならんた じょうききかんしゃ どれもカラフル どれも」
オレ「兄貴!」
兄貴「なんだよ、せっかく乗って来たのにぃもう」
オレ「明日行くって言ってましたけど、明日は雨っすよ」
兄貴「じゃあ、明後日」
オレ「雪予報」
兄貴「じゃあ・・・俺のうなじの産毛が、心地いいそよ風に揺れた時」
オレ「きっしょ!」
おわりだよーん。
追伸
シリーズになるかもよーん
ならないかもよーん。

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