第43話 牢獄宇宙船【地球号】

4/5
前へ
/444ページ
次へ
 これは、いわゆる【地雷系】ファッションなのでは。  高校で見た夏目とは、外見の印象がかけ離れ過ぎていて、わが目、人違いを疑った。 「人違いかと思った……」 「でしょ?わたしの趣味。かわいい?」 「うん。いえす」  低い声で言った夏目に対して、首もとを指で掻く癖が止まらなかった。少々の困惑を隠せずにいながら、「かわいい」と言って欲しそうに見てくる夏目に応えてみせた。  夏目は、これまた黒い鞄と、それから白い袖や裾の白レースを左右にふりふり揺らしている。 「ゆずるも、いい方向に変わった。眼鏡、いらないの?」 「コンタクトだよ。十分見える」 「わたしは、今のゆずるのほうが良いな」 「ごめん、普段はおしゃれしてないし、眼鏡もかけてるよ……眼鏡のほうが、圧倒的に楽だし」 「同じく。わたしも、普段は眼鏡だよ」 「だよね」 「うむ」  今日はお互い、普段とは違ったオシャレをするために、眼鏡を置いてきたことに、共感の共鳴をした。  しかし、よくよく俯瞰して見たら、自分も黒衣装だなと思う、ゆずるであった。
/444ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加