第44話 ブラックシーネットルの奢り

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第44話 ブラックシーネットルの奢り

 東京スカイツリーを臨む都内の水族館は、思ったよりも小規模で、短い時間で館内を回り切れてしまった。  印象に残っているのは、クラゲの展示コーナー。  レストランが併設されていて、天井や壁の一部を、クラゲたちが泳ぎ回っている。優雅に泳ぐクラゲを鑑賞しながらの昼食は、雰囲気が落ち着いていて、ゆずると夏目の気に入った。 「こうやって一緒にお昼を食べるのも、久しぶりだね」  夏目は、ゆずるの対面の席に座って、海鮮丼を食べながら、そう言った。  そういえば、高校の時の修学旅行でも、海鮮丼を食べていたような……?生ものの魚介類が好きなのだろうか。 「久しぶりかな?最後って、3か月前とかだよ」 「さすがに3か月は、けっこうな期間空いてるといえるでしょう」  最後に会ったのは、3月の卒業式だったと思い返した。高校の時の、いわゆる「仲良し四人組」のゆずる、七瀬、夏目、来栖はそれ以降、多忙を理由にメールのやり取りのみが継続されていた。  現在、セミが忙しなく歌う夏の真っただ中。  他方、エビを指でつまんだ夏目は、それを口に放り込んだ。
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