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突然のカミングアウトに、ゆずるは、お得意の沈黙を作り出した。食べる手がピタッと止まってしまって、柔らかいはずの人参がなかなか飲み込めなかった。
――まさか、夏目も鬱になったことがあるということなのか。
薬を飲んだことがあるということは、医師から処方されていて、診断されたのだと考えついて、やっぱり、そうだったのだと、ゆずるは確信に至った。
「わたしも、考えこんじゃう性格だったから、高校の受験前に鬱になったんよ。もしも、高校受かれなかったらとか、進路は、これで本当にいいのかって考え込んじゃって、ベッドに倒れたわけですよ。親に相談したら、お医者さん連れて行ってもらって、一か月半、中学校休んだわけですよ」
自分で持参したウエットティッシュで口元を拭いながら、夏目は過去の自分の姿を語り口調で描き出した。
「その時に、お医者さんに処方された薬ちゃーんと飲んで、ゆっくり休んだら、良くなって、雪摩西高校に受かって、うれしくなって、たぶん、完治したんだと思う」
うんうんと、自分でも語りながら頷いた夏目。
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