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「うん。わたしの場合は、お母さんが作ってくれたお昼ごはんを取りに階段降りるのも辛かったから、持ってきてもらってた」
「ああ~……俺は、気合いで、取りに降りてる」
「強いじゃん。まあ、結局、世の中気持ちが強い人が勝ちますよね~ふっ」
最後に付いた独特な笑いが、いかにも彼女らしかった。
そうやって「鬱」を通じた思わぬ交流と共感を経たゆずると夏目は、互いに、心が落ち着いていた。「共感」が可能な人を見つけて、心が綺麗に洗われたような感覚を、ゆずるは味わっていた。
――これが、他者の心をおもうということなのだと、改めて認識させられた。
そうして、「お互い大変だね」と夏目が言っている間にも、クラゲたちは、そんな会話知ったことではなく、ただ自然の流れのままに泳いでいる。
すっかり満腹になって、皿が平らになってもなお、夏目が主に展開する話題の流れは、止まるところを知らない。大学での面白い学友、先生の話、好きな科目の話、講義が怠い話、親に対する愚痴などなど……
ゆずるは、その流れに取り残されないようにしながらも、彼女との気休めになる会話を、心の奥底で楽しんでいた。
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