第44話 ブラックシーネットルの奢り

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「わたしと、くるみちゃんと、その先輩でごはん行ったときなんだけどね。その先輩が、同級生に付き合ってる人がいるから~って言って、くるみちゃん、がっかりしてた、たぶん。顔は、笑顔つくってたけど」  そんなルートがあったかと、ゆずるは気づかされた。  恋愛の話に疎いゆずるは、七瀬が告白した相手の人が、既にお付き合いをしているという状況を想像することができなかった。七瀬ほどの人物が告白して断る人などいないだろうと、過去のゆずるは断言したかもしれないが、その場合においては、確かに、断られてしまうかもしれない。 ――七瀬に、無責任なことを言ってしまったのではないかと、いまさらながら、不安になった。 「それと、来栖の件なんだけどさ……」  頭の整理が追い付かないが、夏目は、最も気になっていた話を続けざまに持ち出す。  自らの両手の指を交互に絡ませながら、夏目は、低い声で言った。 「――くるみちゃんからこの間、告白は断りたいって、メールで相談が来た」 「……?」 「分かってないな、その顔。つまり、今のくるみちゃんは、【空いてる】んだよ」
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