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プロローグ
転生する前に読んでいたWeb小説の中に、シンデレラを題材にしていた小説があった。確か天涯孤独な少女がヤクザの若頭に溺愛される物語……だったと思う。
「壱華だよ、仲良くしてあげてね」
なぜそれを思い出したのかというと、その小説の主人公・イチカが目の前にいるから。
父親に連れられて、やってきた色白で黒髪の超絶美少女。4歳でその美貌っていったいどうなってんの?
だけど間違いない。ここは、彼女を主人公とした小説の中の世界だ。
「よろしくね、実莉」
そして私の名前はミノリ。これはまずいことになった。
私の名前は相川実莉。ここが物語の世界線状であると仮定するならば、私は救いようのない“悪女”だ。
私、破滅まっしぐらの悪役に転生してしまってる!?
前世の記憶を持ったまま、生まれ変わった先が美少女。しかも親が金持ち。転生ガチャ大当たりじゃん!と狂喜乱舞していたけどそれどころではない。
「よ、よろしくねぇ」
なんとかこの世界で生き抜かねば。生きるために知恵をつけなければ、私の命が危うい。
悪女の最期は悲惨だと、どんな物語も相場で決まっている。
だが幸い、私はまだ悪女としての頭角を表していない、3歳の幼女。物語の歯車はまだ大きく動き出してはいない。
だけど私に変えられる?この理不尽な世界を?
いや、やるっきゃない。私は決意を胸に、父親に抱かれる壱華の真っ黒な美しい瞳を見つめた。
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