精霊の加護を受けたエルフの冒険者は200年でSランクに到達する

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精霊の加護を受けたエルフの冒険者は200年でSランクに到達する

 エルフのAランク冒険者であるレクシアは、200年前からSランク冒険者を目指している。この国で最高位の冒険者として栄誉と富が約束され、名実ともに冒険者の頂点に到達できるからだ。  彼女は、300年前に精霊の加護を受け、戦闘開始から5分だけ攻撃力が上がるという貴重な特性を持っていた。現在、挑戦中の難関ダンジョンは最深部に凶悪なモンスターがいて、倒せばSランク冒険者に昇格できる。更に勝てば、戦闘において大きなアドバンテージを得られる素晴らしいスキルが手に入るという。  挑戦開始から200年経った今、やっと最深部のモンスターの前に立っていた。 「最初の5分が勝負だ。短期決戦で倒してやる」 得意戦略の短期決戦は、手法を極め、最も得意とするところになっている。  得意の剣術で、モンスターが動き出す瞬間の癖を狙い、たたみ掛ける。ついにモンスターが倒れ、念願の勝利を手に入れた。 「苦節200年、本来、長くはない。でも、苦しい時間ほど長く感じるものだね」  レクシアの前に精霊が現れる。 素晴らしいスキルの付与を期待した。 「この精霊、見覚えがあるな」 「エルフの冒険者よ、あなたに貴重な加護を与えましょう。あれっ! あなたには300年前にも同じ加護を付与したよ」 「それって、5分だけ攻撃力が上がる効果の?」 「そうね。もう二度と付与することはできないけど。あの加護の効果は100年よ」 まさかの事態にレクシアは倒れ込み、呆然とする。 「腰が抜けて立てなくなりました。」 「あなた、気付かないっておかしいんじゃないの?」  レクシアは200年間、貴重な加護を信じて戦っていた。 「もう、加護などいらないのよ!」  レクシアは自信を手に入れ、Sランク冒険者として活躍しているという……
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