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「案ずる事はありません。あなたたちは夫婦となり、幼子を育てる事になります。それは神の計画なのです」
「…………ホントに?」
布団から顔を出しマリアが聞いた。
「あなたの前に現れたのと同じに、私は彼の前にも現れ、彼にお告げを授けます。マリアに神の子が宿ったので一緒に育てるようにと」
「本当? じゃあ私彼と結婚できるの?」
「はい」
「本当?」
布団から飛び出したマリアの頬は紅潮し目を輝かせていた。喜びを隠しきれない姿に天使も微笑んだ。
「でも……子どもって男の人とあーゆー事やそーいう事をしないとできないんでしょ? 私した事ないよ」
「だからこそ選ばれたのです。清らかなその御身にこそ神の子は宿られるべきなのです」
「ふーん……でも、あり得ない。神様どころか天使なんているわけない。信じられない」
「ならばこれでどうですか?」
天使はおもむろに立ち上がると真っ白な翼を広げ羽ばたいてみせた。
「わわわ……これは失礼しました! 全て信じます!」
「ではこれから彼の所へ行ってきますね」
「はい、お気をつけて」
天使は忽然と姿を消した。全てが夢か幻だったのだろうか。呆然とするマリアは畳の上に1枚の純白の羽を見つけた。
「本当だったの?」
羽を拾い上げ、マリアはタバコに火を点けた。
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