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懸賞旅行の行き先は、京都の嵐山に決めた。山全体が色鮮やかに紅葉し、特に渡月橋からの眺めは有名ということもあり混雑していていたけれど、ここを選んで大正解。それに大好きな先輩との旅行は、家族旅行とは格段に違って楽しい。手を繋いで人混みをかき分け、人のいない場所でそっと唇を合わせる。夢にまでみた理想のデートといったら大袈裟だけど、あのファーストキスとは比べ物にならないくらいロマンチックでドキドキする。このドキドキは嬉しいという証に違いない。初めての夜も理想の夜だった。何度も気遣ってくれる先輩にしがみついきながら首を縦に振る。先輩とこのまま繋がっていたいと思ってしまう。部屋専用の露天風呂でも体をぴったりとくっつけ、キスをし先輩を受け入れた。
旅行から戻ると急いで一行日記を開く。前日分は空白のまま。気にすることなく今日の分に書き記す。
『先輩が大好き。好きすぎて、もうだめ』
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