2、忘れた記憶、忘れられない記憶

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へ、と先輩である里菜の言葉に彼は瞬いて顔を引き()らせた。 「俺これでも聞き上手って評判あるんすけど…」 「そういうことはさり気なく訊きなさいよ」 「“そういう“こと?」 「遠藤君が普段仕事で相談することある?無いでしょ?彼は仕事は完璧なの。なのに悩むって言ったら“恋愛“しかないでしょう?」 そこまで言われて意表を突かれたように、あぁ〜、と彼は声を漏らした。 「で、何、言ってみなさい?恋?気になってる人でもいるの?」 里菜はテーブルに両肘と両手の平を置いて重ねると、視線を目の前の後輩に向けた。隣から清見が、正面から先輩である里菜が視線を向け、だんまりを続けていた悠佑だったが―――。
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