天使のお告げ

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 そんな事を考えているうちに、目の前に立った(カレ)男友達(ツレ)が、オドオドと声をかけてきた。 「あ、あの。チケットと飲み物買ってきましたよ。コーラで良かったですか?」 「……あ、オッケー。 へえ、ポップコーンもあるんだ」 「あ、はい!何か限定の味みたいです」  オドオド君(面倒なのでこう呼ぶことにする)が、あまりにも嬉しそうに言うもんだから、私もつい、いい返事をしてしまった。  あー、こりゃもう入んないとヤベーか。 「じゃあ、少し早いけど、行きましょうか」  半ば流されるように、私は2人分のチケットとポップコーンのセットを持ったオドオド君に従った。  ◇◇◇ 「ううう……ううっ」  映画なんて、見たの何年ぶりだろう。  多分、小学校の夏休みに親と行ったのが最後じゃないだろうか。  しばらく待てばサブスクで見れるし、わざわざ高い金と労力使って行くこともないかって思ってた。無論、敦とも行ったことない。家でモニターで見るだけ。    でも、来てみると、映画館で観るのもやっぱりいいもんだ。  今日はたまたま、失恋したてのメンタルに刺さっただけなのかも知れないが、気がつくとあたしは、ほぼ初対面のオドオド君の横で号泣してしまっていた。    
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