天使のお告げ

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「いやあ、でもさ。まさか、天使ってのがワンコのことだとは思わないじゃん?!  てっきりファンタジーとかアニメだと思ってたからさー。  いや、邦画あんま見ないけど、マジでよかった。特に飼い主だった元カノがいなくなった後、主人公が病気のワンコを助けようって奮闘するところとか」  映画が終わった後、すっかり嵌ってしまった私は、誰かとその話をしたくて、オドオド君をバーガーショップに誘った。  オドオド君は、自分が褒められたみたいに嬉しそうに笑っている。 「あはは、僕、獣医目指してるんです。だから、ちょっと恥ずかしいんですけど…動物系のヒューマン系に目がなくって。  でも、映画気に入ってもらえて良かったな。  別に話題になってるやつじゃないから、どうかなって思ったんだけど。 …実をいうと僕、淳君とも普段あんまり絡みはないんだ。  大学が一緒で、学科は違うけどたまたま講義が被ってて。テストのためにノート写させてやったお礼に、バーベキュー奢るって言われてさ。  まさか、女の子も来るなんて聞いてなかったし、ましてやその場で紹介されるなんて、びっくりしちゃって。  だから、こんなことになって、あなたも困ってたんじゃないかなって、えっと…」 「あ、あたしカナだよ。松本カナ。  なーんだ、やっぱり。  ちょっとおかしいと思ってたんだよね。あんま、淳のツレってタイプじゃないしなーって。  あ、悪い意味じゃないよ?えーっと…」  「あ、僕、卓志(たくし)です、瀧本卓志」 「ふ…」 「「あはははははははは」」  お互い名前も知らなかったことに気づいて、目を見合わせて笑った。
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