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いつも通り、友達と帰っている夕方。 その日は、11月にしてはだいぶ寒く、雨も相まって気分が落ちる。 家に帰るのもなんだか億劫だ。って、それはいつも通りだが。 そんな事を思いながら、かれこれ数十分は彼と帰り道を歩いて…歩い、て。 いや、おかしくないか。俺の家は学校から近くて、数分で着く。 …そもそも、今日は。俺達は、今日を何回、繰り返した。 「なぁ、今日…ううん、ここ、最近。」 同じ日を_そう俺が言いかけた時、不意に彼は口を開く。 「今日、俺ん家で遊ばね?」 その時、俺は確信する。 嗚呼、口を出すべきじゃないんだな、と。 明らかな、静止。それ以上話すな。という圧。 少しの恐怖と無関心。 いいじゃないか、俺達は、今まで、仲良くやってた。 …それで。いいだろ、何があったって。 「おー、今から行くか?」 「…うん、そうしてくれると、助かるわ。」 そう微笑む彼は、悲しげで。 そんな彼の笑顔を、俺は見た事がある気がした。 記憶を探るため、昨日を思い出そうとしても、思い出せない。 …いや、思い出す必要なんて、無いのかもな。 「…」 急に、彼は立ち止まって俯く。 「…どうした?」 心配で、彼の名前を呼ぼうとする。 「…あ、れ。」 彼の名前は、何だった? …わからない。思い、出せない。 そもそも、コイツは…誰だったか。 「…やっぱ、俺の我儘じゃ、お前の事は殺せないや。」 彼の頬に、雫が落ちる。 その雫はどんどん増えていき、辺りを水で覆う。 あまりの出来事に俺は少し目眩がして。 「戻ろうぜ、やっぱり。」 その言葉と同時に、その場に俺は倒れ込む。 はっ、と、目を覚ます。 頭が痛い。体が水で濡れていて、寒い。 …まだ、ぼぉ、っとする視界を擦る。 「目、覚ました?」 声の方向を見やる。まるで彼は普段通り。という風に立っていて。 でも、彼もずぶ濡れなのが現状を思い知らされる。 「…最悪な夢を見た。」 「そりゃ良かったよ。…後悔した?」 「全く。」 すると彼は徐に笑いだし、 「最高だよ、お前。」 そう言って、肩を押される。 「帰んな。何時でも、此処で待ってるから。ネットの存在で、良ければな。」 「帰りたくない。そう言ったら、どうすんの。」 そう言えば、彼は暫く悩んで 「…無理矢理にでも、帰さすよ。だからお前は今生きてる。な?」 嗚呼…こいつには、叶いそうも無い。
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