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「ねえ、ママ、お願い。 可笑洞に行かせて」
「………いい、わよ」
いいの…!? いいんだ…!! いいんだ~っ!!!
「ただし、アルネ。 これだけは気をつけて……
パパを探しすぎて、貴方も行方不明にならないようにね。 アルネまで…ああなったら…あーなったらさぁ……うっ…、ぐす……」
ポタポタと腕に涙をこぼしながらお願いしてくるその背中を優しく撫でる
「大丈夫。 いつかは戻ってくるさ
……さ、準備を始めようよ。 念願の息子の引越し…だよ。」
「……これじゃ、どっちが親か分からないわよ。アルネ、なんでそんなに優しいの…。」
可笑洞に行くための準備を始めた。
着替え、食料、お父さんから貰ったお守り、ナイフ、大好きなぬいぐるみ、懐中電灯、光るヘルメット、ケガした時に使う包帯や絆創膏、可笑洞であったことを記録するメモ帳、そして可笑洞のことをまとめた本…など、色々なものをリュックにしきつめた。
準備をするにつれて、ママの顔がどんどん暗くなっていくのがわかる。
大切な子供を失って、更にはお父さんまで…だもんね。 でも、アルネがパパをすぐに見つけ出して、最高速で帰ってきて、ママを助けてあげるんだから。
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