3話

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3話

目の前が真っ暗だった。 ん……状況から察するに 俺はまた、野菜になったのか……暗いってことは……根菜かなぁ…… だって、たぶん土のなかだし…… 人参か、大根か、レンコンか……あと何があったっけ…… それから数日がたった 「よし!今日は大根を抜くぞ!」 と、元気なおじいさんの声がした。 そして、俺は引っ張られた感覚がした。 …………俺は大根だったのか…… 「おぉっ!」 突然俺を抜いたおじいさんが叫んだ。 「こ、この形、人形だ、縁起がいいっ!服を着させて家に飾ろうっ!」 …………縁起が……いい?なんで……? そしておじいさんは水で土を流すと家の中にいたおばあさんに俺を渡した。 おばあさんは俺に服を着させて棚の上に置いた。 「かわいいねぇ」 …………はい? それから数日。おばあさんは毎日俺(大根)に話しかけている。 「今日は大きな人参が採れた。ありがとう」とか 「今日の味噌汁はわかめだよ」とか …………俺、大根だよ、大丈夫……?
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