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「今?さっき起きたところだよ。二度寝しようかなって考え中」
話しながら椿はあくびをした。また眠くなってきた。椿は電話を切ろうとしたものの、それを恋雪の大声が遮った。
『二度寝禁止!!今から初詣一緒に行こう!!』
「うるさ!ていうか初詣って別に明日明後日でもよくない?」
『ダメ。今から××神社に来て。あと、振袖着てきてよ。振袖絶対だからね!!』
「恋雪!!って切れてるし……」
椿はため息を吐きながら布団から出る。恋雪がこれほど強く主張をするのは初めてだ。仕方なく準備をすることにした。
「おばあちゃ〜ん。明けましておめでとう。振袖って今着れる?初詣行くから着たいんだけど」
「明けましておめでとう。デートかい?とびきり可愛く着付けないとね」
顔を洗ってメイクを済ませた後、リビングでテレビを見ていた祖母に着付けを頼む。両親はまだ寝ているようだ。
祖母の部屋に振袖はしまってある。祖母は桐箪笥から振袖を取り出した。白い花が描かれた赤い振袖は、椿が成人式の時に着たものである。成人式の時以来着ることはないだろうと椿は思っていたものの、恋雪に頼まれて初詣に行く時に着ることがあった。
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