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恋雪とそんな話をしながら参拝するため本殿へと向かう。頭の中では恋雪との思い出の詰まった記憶の蓋が開き、出会ってから今日までのことが鮮明に映し出されている。
初めて恋雪と出会ったのは、大学のサークルだった。大学で椿は中学・高校と共に続けていたバスケサークルに入部した。椿が入会して一週間ほど経った頃、恋雪が入部してきたのだ。
「僕、運動初心者だけどいいのかな……」
初めて会った時、彼はオドオドとそう言っていた。どうやらバスケサークルの先輩が強引に勧誘したらしい。話を聞くと、恋雪は中学・高校共に文化部だった。インドア派でスポーツは学校の体育でしかほとんどしてこなかったという。
周りの先輩や同級生は、「人数集めとはいえ、厄介な奴を引き入れたな」という雰囲気だったものの、椿は笑顔で接することに決めた。恋雪の不安を少しでも取り除いてあげたい、そんな思いが強かった。
「大丈夫だよ!イチからあたしが教えるよ〜。コツを掴めば簡単だし、そもそもここってそんな強豪校じゃないし。気楽にいこう!」
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