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三年前のクリスマスプレゼントに両親からもらったDVDプレーヤー。毎日のように使ってきていたから、寿命も早かったのかもしれない。
「お母さんがいきなり入ってきたから、焦って変なところでも押しちゃったのかな」
その後も電源を入れ直したり、DVDを入れ直したり、いろいろと試したけれど、一向に映画が始まる気配はなかった。朝には治っているかもと、一縷の期待をしながら、再生ボタンを押した状態のまま眠りについた。
◆◇◆◇
「千二百円か」
結局朝になってもDVDプレーヤーは昨夜と同じ状態だった。仕方なく修理に出してみようとDVDプレーヤーを放課後に電気屋に持っていったのだけれど、どうやら基盤が壊れてしまっていて、古い型だったこともあり修理は不可能と言われてしまった。
お小遣いのほとんどはDVD購入に使ってしまっており、俺の全財産が手の中にある千二百円。これで、新しいDVDプレーヤーを購入しなくてはならない。
そのために、俺は自転車を激漕ぎして秋葉原のジャンクショップにやっとの思いで辿り着いた。十一月だというのに、汗ビッショリだ。大通りから裏路地に入り、細かい部品を扱う店の一角にあるジャンクショップの入り口を入った。
「いらっしゃい。何をお探しかな?」
ジャンク品でパソコンやラジオを汲み上げているため、油で薄汚れたエプロンをした中年の男性が声をかけてきた。
「あの、DVDプレーヤーが壊れて、それで新しいの買いにきたんだけど、千二百円しかなくて」
「DVDプレーヤーか。珍しいね、最近はみんな配信使うでしょ」
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