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「ここは、家族とか身分を偽らないと面会なんてできないって」
そう言ってから再生ボタンを押し、映画の続きを流し始めた。
「あれっ?」
なにか、さっきまでとは違う違和感を感じる。そして、看護師が面会に来た子に対して「お兄さん」と呼んでいることに気がついた。前のシーンでも明らかに「お友だち」と呼んでいた。聞き間違えたのか? いや、そんなはずはない。何回もお友だちという表現があったので、ダメ出しのために一時停止をしたのだ。
違和感を感じながらも、続きを観ているとまたしてもダメ出しをしたくなる内容にぶち当たった。イケメンだけれどネクラそうな男子が、呪いの本を読みながら混雑している学食にいる。しかし、その男子のまわりだけ空席になっているのだ。いくらネクラ、呪いの本を読みながらという設定でも、これはおかしいだろう。たまたま、隣の席が空いていたとか、イケメンなのだから女子がチラチラ男子を見ているような感じになるだろう。この監督は大学生活を送ったことがないのだろうな、中学生の俺にダメ出しされるような設定してるようじゃダメだな。
そんなことを考えてから、再び再生ボタンを押した。そして、今回も違和感に気がつく。いや、違和感なんてもんじゃない。さっきまでの映像では、イケメンの周りの席だけガラガラだったのに、今は正面の席のみしか空席がない。
「俺の思ったとおりに映画が変わってる?」
そういえばと思い、もう一度説明書を手に取って確認したけれど、レイズ機能が搭載されています、と表記されているだけだった。
「レイズってどういう意味なんだろう」
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