そこにまだいる

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小、中、ときに高校時代でも、特に女子は、やった経験もあるだろう。 白い紙に五十音と『はい』と『いいえ』を書き込み、十円玉に指を 置いて、神様か霊を呼び出す遊び、というか、降霊術みたいなもの。 怖がりの私は、小学生の頃から避けていた。 やっているのを見ると呪われる、なんて聞いて、放課後に女子たちが 始めたので慌てて教室から逃げたこともある。 落ちたペンケースも拾わなかった私の背には「あの女、ビビりすぎ~」 という声がして、怖さだけでなく怒りでも震えた。 不気味でリスクも伴うことをして何が面白いんだか。 儀式の途中で十円玉から手を離すと呪われるとか、低級霊を呼び出して 『ころしてやる』と、繰り返されたとか、狐の霊を怒らせて神社に 謝りに行ったなんて話しも聞いた。 それでも誰もが些細で無邪気な意識でやっていた。 「隣のクラスの××くんが好きです、この恋は実りますか?」とか。 「ムカつく子がいます、そいつをこらしめてください」とか。 呪った相手が階段を踏み外して捻挫したと、喜ぶ者もいた。 そんなの、人と人じゃないモノと、どちらも怖い気がした。 かといって私も人のことは言えない。 無機質で勉強ばかりするキャラを印象付けながらも、歪んだ暗黒な感情を 抱え込んでしまったのだ。 もうコックリさんなんて離れるような時期である、高校二年になったとき。
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