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しばらく行くと森が開け、ゴーゴーと勢いよく水が流れ落ちる滝の前に出た。
高さは三十メートル位だろうか。それほど高くはなかったけれども、豊かな水が滝壺を打ち付け、白い水飛沫を巻き上げている。
白い水飛沫が舞う滝壺に近付くと、そこに、一人の男性が佇んでいた。
彼の背中には、黒い二本の翼が生えていた。
わたしは、その人物に近付くと彼の名前を呼んだ。
「ルシリス」
彼は振り返ると、紫がかった漆黒の瞳で、わたしを見つめた。
彼は、ハッと息を呑む程に美しい男性だった。
陶器のような白く艶やかな肌に、切れ長な瞳。唇は薄く、口角には柔らかな笑みを浮かべている。そして、鼻筋はスッと通り、美しく輝く銀色の髪をしていた。
まるで、美術の教科書か何かで観たギリシャ彫刻のような美しい男性だった。
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