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「また、この夢」
わたしは声に出すと、ベッドに上半身を起こし、左手を後ろに回して背中に触れた。
もちろん翼など生えている訳もなく、触れたのはお気に入りのパジャマの、サラリとした生地の感触だけだった。
わたしは小さく溜息を吐いた。
わたしが天使ならよかったのに。天使なら毎日、高校に通う必要もないのに。
それに、きっと美しい歌声をしていたことだろうから。
わたしは、右手で髪の毛をワシャワシャと掻きむしると、そんなありもしない妄想を振り切って、ベッドからフローリングの床に下り立った。
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