わたしの魔王/僕の魔女様

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★ ★  森の奥。  石造りの小さな塔。  わたしが魔導書を読んでいたら、外から勢いのいい足音が聞こえてきた。 「魔女様ー! 魔女様!」 「あら。そんなに慌ててどうしたの?」  息せき切って現れたのは、金髪碧眼の美少年だ。  彼は頬を赤くしながら、何かをわたしに差し出してきた。 「これをどうぞ」 「何かしら」  彼がわたしの掌に乗せたのは、七色に光る石だった。 「川辺で拾いました。とても美しくて、魔女様に似合うと思ったので」 「ありがとう。嬉しいわ」  わたしは石を宙に翳してみた。  きらきら。  薄暗い室内でも分かる煌めきだ。  わたしは、思わず顔をほころばせる。 「オリヴァーはきれいなものを見つけるのが得意ね」 「へへ。魔女様に褒められて光栄です」  オリヴァーは満足そうにしている。  彼は時々、森へ散歩に出かけては色んなものを拾ってくるのだ。 「そろそろ夕食の支度をしましょうか。今日はウサギをさばいてちょうだい」 「分かりました」 「わたしは根菜でスープを作り、パンを焼いておくわ。楽しみにしてるわね」 「行ってきます!  オリヴァーは元気よく飛び出して行った。  きっと生きのいい大きなウサギを仕留めて帰ってくることだろう。 「楽しみにしてるわ、オリヴァー」  今年で十二歳になるだろうか。  わたしは彼の未来を知っている。
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