4.信仰

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4.信仰

 そもそも人間は神に会ったことがあるのか。私はあの日まで、「神に最も近い天使」と言われていた。そんな私でさえ、神と話したことはない。  なぜ人間は神の存在を信じるのか。    熱心に教会に通っても、そこに神がいるわけではない。神父や牧師も神に会ったことはないだろう。彼らは分厚い本を抱え、十字架を握りしめながら、神の存在を信じようとしているのだけではないか。  神の忠実な僕である私は愛されず、天使の称号も剥奪され、二度と天界には戻れない。それなのに私が地獄の責め苦を与えている人間たちは愛され、罪を赦される。    神よ、聞いていますか?
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