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まさか数馬にそのセリフ言われるなんてな
慌てて学校の玄関まで向かってると、途中で数馬達に会った。手にはゴミ袋があって、その中には写真らしき物がいっぱい入っていた。
数馬の他には直登と、戸塚までいた。
数馬が俺に気付いてすぐに駆け寄って来た。
「貴哉!」
「お前ら……何朝からゴミ拾いなんかしてんだよっ……戸塚まで……」
「春くんは集会が終わって今来た所だよ。貴哉ってば今頃来ても遅いんだから~。俺達でほとんど拾っちゃったもんね~♪」
「秋山がまた面倒な事になってるみたいだからな。今回は俺も協力してやろうと思ってな」
直登は写真が入った袋を自慢げに見せて来て、戸塚はもう俺が知る鉄仮面じゃなくなっていた。
そして数馬は心配そうに、俺を覗き込んで来た。
「全部拾えたかは分からないけど、見える範囲のは拾ったから。あと、持ってた奴らからは直登が回収してたよ」
「全員とまではいかなかったけどね。貴哉、何があったんだ?電話しても出ないしさ~」
「とりあえず教室へ行こう。ホームルームが始まるからな」
ここは真面目な戸塚さん。周りにも体育館から教室へ向かっている生徒達がちらほらいて俺達を見ていた。
俺はせめてゴミを捨てて来ようとしたら戸塚に止められた。
「秋山、これは一応取っておいた方がいい。場合によっては証拠になるかもしれないし、使えるかもしれないからな」
「さすが春くん♪なら教室のロッカーに入れておこうよ。これ結構重いから早く行こー?」
なんて頼りになる奴らなんだ!
先に歩いて行く三人の後ろ姿を見てたら隣にいた空と目が合ってニコッと笑ってくれた。
俺、こいつらの友達で本当に良かった。
時には言い合ったり、ムカついたり、睨まれたり、悲しませたりし合ったりもするけど、何でかな……そんな事があってもこんな風に笑い合えるなんて……
みんな良い奴過ぎて大好きだ!
「貴哉教室に行こう?遅刻になっちゃうぞ」
数馬が笑顔で振り向いて俺に手を差し出して来た。
俺は少し驚いたけど、数馬の手を取って後に続いた。
「まさか数馬にそのセリフ言われるなんてな」
「数馬くんかっこい~♪俺も言われたいなぁ♡」
「な、直登は必要ないだろ」
「お前ら歩くの遅い。先に行くぞ」
「俺も貴哉と手繋ぎたい!」
今は揃う事がほとんど無くなった俺らだけど、こうしていると本当に楽しい。
今だけなら写真の事も忘れられそうだった。
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