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「お前にそんな権限はない。残念だったな」
ノアが説明を続けた。
「アイヴィーがシャーロット嬢へ話を聞きに行ったら、当の本人はけろりとしていたらしい。知ってたか? 僕たちが遠征に行っている間、シャーロット嬢は、魔物の骨でアクセサリーを作ってブランド展開することを決めたそうだ。目標は、トゥインクル通りへの出店」
「何だって?」
初めて聞く情報ばかりだ。
アイヴィー・ラッセル子爵令嬢は、シャーロットの学院時代からの親友であり、ノアの婚約者でもある。
つまり情報の信ぴょう性が高いというのは分かるが、情報量が多い。
どこから整理すればいいんだ?
もしかしたら昨日身に着けていたネックレスが、魔物の骨でできているのかもしれない。
トゥインクル通りは王都でも一等地だ。
貴族相手に勝算がなければ出店なんてできないだろう。
「こほん。大至急、お前はシャーロット嬢に弁解の手紙を送れ。そして会いに行け。いいな?」
「……ありがとう。恩に着る」
「いいってことよ」
……ところが。
大至急会いたいとしたためた手紙の返信は、『出店準備で忙しい』というものだった。
いや、ちがう。
正確には、こうだ。
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