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第一話
★ ★ ★
「あらあら、どうしましょうね」
わたくしは、頬に手を当てて首をかしげてみせました。
婚約者であるジョシュア様・グレンヴィル公爵令息は、この国の騎士団長。
魔物の森へ遠征に行かれて数ヶ月経ちますが、どうやら、任務を終えて凱旋されるそうです。
たった今受け取った手紙には、そのようにしたためられていました。
わたくし、シャーロット・スタンホープ伯爵令嬢と、ジョシュア様は親同士が決めた許婚です。
わたくしは十八歳。
ジョシュア様は二十三歳、だったはず。
現在、ジョシュア様は騎士団長として任務に忙しく、ジョシュア様が五年前に王立学院を卒業してからは、顔を合わせる機会がほとんどありません。
夜会に参加したのは指折り数える程度。
しかもジョシュア様は華やかな場がお好きではないため、ファーストダンスも嫌々踊られるのです。
無理強いさせてはいけないと思い、私の方から参加を断ることにしました。
騎士団長として国のために日々命をかけてくださっているのですから、任務以外のことで嫌な想いをさせたくはありません。
一方のわたくしは、お父様が出資するレッドダイヤモンド商会に経理として勤めています。
この商会はわたくしのお母様の実家でもあります。
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