274人が本棚に入れています
本棚に追加
笑顔が眩しい。逆光でも分かる、最高の笑顔だ。
「開店おめでとう。本当は初日に来たかったのだが」
俺はゆっくりとシャーロットに近づいた。
シャーロットは俺よりも頭ふたつ分ほど背丈が低い。
立ったまま話そうとすれば、自然と見上げられる形になる。
「すてき。ありがとうございます」
「……」
やめてくれ! いや、やめてくれるな。
上目づかいではにかまれると、どんな魔物の攻撃よりも威力が高い……ッ!
「わざわざ気にかけてくださってありがとうございます。ちょうど誰もいませんので、お入りくださいな」
「これは、花だ」
待て、俺。何故見れば分かることを言ってしまった。
小さな花束ではあるが、受け取ってくれたシャーロットは香りを嗅いで、はにかんだ。
「早速、花瓶に生けますわね」
シャーロットが笑ってくれた。
俺はぐっと拳を握る。
……ノアのアドバイスをもとに買ってきてよかった。
店内は白を基調とした小さな空間で、商談用のテーブルと椅子が中央に置かれている。
壁際には小ぶりのネックレスが並べられていた。
「すごいな……」
思わず声が漏れた。
魔物の鱗や骨が武器や防具になるのは常識だ。
それ自体がわずかな魔力を帯びていて、持ち主を守ってくれる。
人間は魔力を操れないが、魔物だったものをそれなりに扱うことはできる。
最初のコメントを投稿しよう!