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騎士団や冒険者はそうやって戦ってきたのだ。
魔物を着飾るアイテムへ変えるというのは、誰も思いつかなかったのだ。
ただのアイテムではなく、美しいアクセサリーたち。
まるでシャーロットの心を表しているようだ。
「ふふっ。騎士団長様に褒めていただけるなんて光栄です」
テーブルに贈ったばかりの花を飾ったシャーロットが、俺の呟きを拾ってくれる。
なんて優しいのだろう。
「なかなか会いに来られずすまなかった」
「いえ、わたくしよりも優先すべきことがたくさんおありでしょうから」
……ん?
些細だが、違和感が生じた。
「そうですわ!」
ぱんっ、とシャーロットが両手を叩いた。
白い小箱が開かれると、中には、四葉のクローバーを模した透明なアミュレットが入っていた。
「こちらが当店の一番人気のアミュレットです。無事を祈るお相手へ差し上げてください」
「無事を祈る……?」
「えぇ。是非、騎士姫様へお贈りください! 愛の証として!」
妬みも嫉みもない、一点の曇りなき笑みだった。
どういうことだ。
噂は本当なのか。待ってくれ、シャーロット。
――そこからどう帰ったかは覚えていない。
★ ★ ★
「屍になってるぞ」
「……てくれ……いっそ一思いに殺してくれ……」
騎士団内で醜態をさらす訳にもいかず、俺は、上官しか入れない武器庫の隅で三角座りをしていた。
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