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「そうですわ。どうして今まで考えなかったのかしら?」
金銀や貴石ではなく、魔物の鱗や骨でペンダントのチャームを作ってみたらおもしろいのでは!?
思い立ったが吉日、というのは元冒険者であるお母様の口癖です。
わたくしはすぐさまレッドダイヤモンド商会へ向かいました。
驚いた顔をして受付係がわたくしを出迎えます。
「シャーロット様、どうされたのですか?」
「今日はお休みではなかったのですか、お嬢様」
わたくしははやる気持ちを抑えて、にっこりと微笑みました。
「えぇ、休日ですわ。ところで研磨された魔物の骨はあるかしら?」
「はい。ちょうど研ぎ師から届いたばかりですが……」
「特上の物を用意してくださる? 新しいビジネスの予感がするんですの」
使用するのは研磨した魔物の骨。
カッターと呼ばれる裁断係に依頼すると、快く引き受けてくれました。
「お嬢様。こんなんでいかがですか?」
「まぁ! すばらしいですわ!」
きゅんっと胸の高鳴る音が聞こえたような気がしました。
わたくしのてのひらには、ハート形のチャーム。
虹色に光るパール、というのが近い表現でしょうか。見る角度を変えると、無限大に色が広がります。
「ふふ……いつまでも眺めていられそうです……」
想像通り、いえ、想像以上です。
わくわくしてきました。
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