空手のマリちゃん

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 その日、マリちゃんが道場に行くと、知らない子がいました。  真新しい生成りの空手着に、白い帯を締めています。  師範がやってきてみんなを集めて、その子を紹介しました。  今日から新しく入門した子でした。  マリちゃんはその子を見てハッとしました。  顔に見覚えがありました。  あのイジメられていた男の子です。 「よ……、よろしく願いします。ぼ、ぼく……、強くなりたいんです……」  男の子はモジモジ照れながら頭を下げました。  そして顔を上げたときにマリちゃんと目が合いました。 「あ! あのときの……!!」  向こうもマリちゃんに気づきました。  マリちゃんは嬉しくてニヤニヤしちゃいました。 「よろしくね。一緒に頑張ろ!」  と握手して、男の子の手をギュッと握りました。  男の子は勘違いしたのか、ちょっと頬を赤らめました。  一方、マリちゃんはすっかり殴ることで頭がいっぱいです。  この子とならいっぱい殴り合えると思いました。  もちろん空手の話です。  これは二人で強くなるお話です。  おしまい
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