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空手のマリちゃん
マリちゃんは殴るのが大好きです。
でも悪い子じゃありません。
空手の話です。
マリちゃんは近所の空手道場に通っています。
そこではマリちゃんと同じ歳ぐらいの小学生低学年の子供たちがたくさん稽古に来ています。
「えい! えい!」
掛け声とともにみんなで突きや蹴りの練習をします。
そしてマリちゃんの体よりも大きなミットに向かって、空手の先生から教わった突きや蹴りを打ち込みます。最初は柔らかなミットがグニャグニャ、ポヨンポヨンするだけだったけど、最近はビシッとかバシッっていう良い音がするようになってきました。
良い音がすると、マリちゃんはニヤニヤしちゃいます。
もっともっとやりたくなっちゃいます。
できれば、家に帰ったあとも枕か何かを叩きたい気分です。
でもね。
空手の先生はよく言います。
道場の外でやってはダメだよって。
そうなのです。
空手は空手道場でやるもので、外でやってはいけないのです。
だからマリちゃんはグッと我慢します。
我慢して、我慢して。
いつも空手がある日が待ち遠しくて仕方がありませんでした。
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