空手のマリちゃん

3/5
前へ
/5ページ
次へ
 教室に戻ったマリちゃんはぼんやりと窓の外を見ていました。  黒板の前では先生が算数の授業をしています。  教室の窓は少し空いていて、カーテンが揺れていました。  天気がいいです。  でもマリちゃんの心は晴れていません。  なんだかモヤモヤしていました。  マリちゃんは遠くに授業の声を聞きながら思いました。  なぜ人は人を殴るのでしょう?  そんなに人を殴りたければ、みんな空手をやればいいのです。  なのにそいつらは空手をやろうとはしません。  マリちゃんはそいつらのことが許せませんでした。  殴ってやりたい気分でした。  でもそんなことをしたら、自分もそいつらと同じになってしまいます。  マリちゃんはぐっと我慢しました。  よっぽど険しい顔をしていたのでしょう。  気づいた先生から「トイレに行きたいのか?」と聞かれてしまいました。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加