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初対面
顔写真付きの個人情報の書類の中から1人自分と同性の高校生を選べと言われた。
だけど興味が無かったし、1人選ぶという動作が失礼な気がしてなんだか嫌になった。
さっさと済ませたくて浅風の持つ書類の1番上の紙をとって、顔写真も見ずにこの生徒にしますと、教授に報告した。
自分の選んだ高校生と初対面の日、席に座る男の子の姿に驚いていた。
すごく綺麗。まるで天使みたい。
光に反射する金色に染めた髪に人形のような長いまつ毛、陶器のような白い艶のある肌。
「はじめまして中瀬恋叶です。今日は来てくれてありがとう。」
そう言いつつもその子の美しい容姿から目が離せなくてじっと見つめ続けてしまった。
「よろしくお願いします。」
にこりともせずに返事をしたその子は僕からの視線に気づいているはずなのに見つめられることに慣れているのか何も動揺していなかった。
「自学館大学の3年生です。ゼミの研究でキャリアサポートをさせていただくことになりました。…えっとまずはこの紙に記入をお願いします。」
そう言って差し出した紙には高校生の将来についての考えを書く欄や、生徒の性格を知るためのアンケートが載っている。
1番上の名前を書く欄に夕城彼方と細い字で書かれた。
さっさと彼は記入を終わり僕に渡してきた。
「これでいいですか。じゃあまた。」
「あ、」
話そうとしようとしたのにそれを聞こえなかったふりをして席を立って行った。
…生徒選びこれは間違ったかもしれない。
浅風の話によるとゼミの他の人は結構順調らしい。まいったな。やる気は無いけれど、これは成績に関わってくることだ。どうにかしなくちゃいけない。
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