一緒に居よう

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一緒に居よう

この子には自分の全てを安心して預けられるそんな場所が必要だったんだ。すべてを守ってあげられるそんな人が必要だったんだ。 自分の周りが安定していないと、自分についてしっかり考えることは出来ない。 家族から離れたい。そんな一心で彼方くんは留学したいと英語の勉強を頑張っていたけれど、母親のことを一緒に考える僕という存在ができて、やっとほんとうに自分がやりたいことについて考えられるはず。 彼方くんは、母親が家に帰ってくる時には僕の家に泊まるようになった。 母親は僕と会った以降、おばあちゃんにもすべて話して、今は落ち着いているらしい。 問題が解決したらやっとキャリアサポートが始められる。 「じゃあこれ。またじっくり考え直してみてよ。今度は、家族のこととか気にしないで。君がほんとにやりたいこと、聞かせてよ。」 そう言ってまだ真っ白のプリントを渡す。 この紙にはどんな未来が書かれるんだろう。 そしてそこまでの道のりにはどんな障害があるんだろう。 まだまだ未熟で寂しがりなこの子が成長していく姿をずっと支えていくから。 そして僕自身も彼方くんと出会ってやりたい夢が出来た。 「…はい。ではその日で、お願いします。」 ゼミの教授が起業しているキャリアコンサルタントの会社の話を聞きに行く。 彼方くんだけじゃない。僕だって一緒に成長していく。 「電話終わった?」 家に来ていた彼方くんの頭を撫でる。 この子はいったいどんな大人に育つのかな。 僕は君が安心出来る誇れる大人でいられているかな。 それぞれ目指す場所に、2人で向かって行こう。
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