現実

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『武、蘭。会いに、来て、くれ、る、かな。ありがとぅ。……ごめ、ん。もう、無理かも。だけど、歩瑠夏は、武蘭、に会えて、幸せ、だった…よ。 武蘭、好き…大、好きって…ちゃんと、言えればよか…た。もう一度…もう一度でいい…から会い、たい。  もっと……生きたいよ、武蘭!』  ブツッと録音が途絶えた。  歩瑠夏の最期の声は生きる力を振り絞ったかのように力強いものだった。  歩瑠夏の母親は、俺を歩瑠夏が眠る部屋へ連れて行ってくれた。  ガラス張りの病室に、沢山のチューブと線に繋がれた歩瑠夏。  枕元には大きな球体の『アイ・Bスーツ』。 「なんで…なんで待っていてくれなかったんだよ……目ぇ覚ませよ……」  俺はその場に崩れ、床に臥せって泣いた。  泣きながら思い出すのは、最後に抱きしめる前の少し嬉しそうな歩瑠夏の表情だった。
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