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えちしたら……☓☓☓(ぺけぺけぺけ)ー1
『ーーもうひとつ。面白い呪詛を施したんだ』
白銀に耀く長い髪と、冷たく輝く白銀の瞳を持つ神は、そう言ったーーーー。
★ ★
夏の陽射しが照りつける。
大きな黄色い花が揺れる花畑のなかで、その男は立っていた。
遠くからでも見間違う筈もない。
見つけた……! 愛おしい男……!
歩き続けて来た疲れもなく、青年は駆けだした。銀色のリボンで結わえた髪を揺らしながら。
花のなかを。
その男に向かって。
抱きつきたい程のその背を前にして、少し離れて立ち止まる。
腰の辺りまである金色の髪をさらりと揺らし、男は振り返った。
青い瞳が青年を見つめる。
「漸く、辿り着いたな」
「ゆっくり……来たよ」
「そうか……」
男は両腕を広げた。青年はそこに向かって駆け寄った。
「イオ……! 会いたかった!!」
トールは生まれ育った村から初めて外へ出た。
愛しい男を捜す旅へ。
幸せな一夜を経て、眼が覚めれば、姿を消していた男。何処に行ったのかは、わからない。
でも……! 絶対に見つける……!
感じるんだ。
肉体に残った証が。身体の奥にある何かが。
迷いなく、イオのいる方向に進んでいく。
本当はもっと早く辿り着くこともできた。しかし、トールはそうはしなかった。
充分に月日をかけ、より再会を喜び合う為に。
記憶を消されていたあの時のように、思いださなければという焦りもない。
覚えている。
彼のことも。どれだけ愛しているか、どれだけ求めているかということも。
月が欠け、また満ちるまでの月日をかけて、イオの許に辿り着いた。
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