4・ミリキア宅に急げ!

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4・ミリキア宅に急げ!

 さて、うわばみから逃れた田の久は、足を急がせ、明け方頃に故郷の村へとたどり着きました。    村人たちは、うわばみに遭ったんじゃないのか? どうやって山を越えたんだ? などと田の久に詰め寄りました。  田の久は先ほどまでの経緯を説明し、フロウガンに化けていたこと、苦手なものなどを広めてやりました。それを聞いた村人たちは、すぐにタバコのヤニと柿のシブを集めにかかりました。  あっちこっちの家をまわり、庭に転がっていたタバコの吸い殻や、柿を漬けてあるお湯を手桶いっぱいにくんだりして、うわばみ退治の絶好のチャンスだ、とばかりに躍起になって、準備に取りかかったのです。  さて、田の久のほうは、慌てて玄関を開け、ズカズカとミリキアの家に上がり、寝室の襖を壊す勢いで開け放ちました。 「ミリキア、大丈夫!?」  ミリキアは布団から身を起こすと、 「あ、リルウちゃん! 久しぶり~」  と、普段通りの明るい笑顔で、田の久に向かって手を振りました。  これを見た田の久はすっかり拍子抜けして、 「あんた……病気でヤバいんじゃなかったの?」 「そうそう。インフルになっちゃったの~」  田の久の冷めた様子に対して、ミリキアは臆面もなく、呑気に話してゆきます。 「かかったその日はさ、熱も出たし、喉も痛かったし、咳もずーっと止まんなかったし……で、すっごいつらかったの。でも、次の日には全部治っちゃって。今日なんか、あたし、もう体がピンピンに元気なの。逆に、動かないともどかしい感じ。だけどさ、インフルってさ、なんかよく分かんないけど、お外出られないじゃん? だからすっごくヒマでさぁ~。そこにリルウちゃんが来てくれたから、あたし今、すっごく嬉しい!」  ミリキアは目を輝かせて、 「ねえねえ、一緒に遊ぼうよ! Switchで『あつ森』やらない? ひとりでやりこんでて退屈だったからさ! お部屋別でも、通信できるし。ね? やろ?」  と田の久を誘いましたが、当の彼女はすっかり拍子抜けして、今まで急いできた分の疲れがどっと出たために、 「やだ。向こうの部屋で寝てくる」  と言って、襖を乱暴に閉めて、出ていってしまいました。
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