天国の僕

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 美味しいご飯でお腹がいっぱいになった。  今夜もぐっすり眠れそうだ。  僕は今、天国というところにいる。  パパとママより先に僕だけが来たみたいだ。  僕は童話とかでも読んだことがあるけど、天国というところはとてもいいところで、みんな楽しく暮らしていると思っていた。  でも実際はそうではなかった。  まあきれいはきれいだけど、ひとりぼっちだ。  遊び相手がいないだけじゃない。  そもそも神様はご飯も用意してくれない。  じゃあどうするのかというと、パパとママが向こうの世界から送ってくれるんだ。  僕がいる部屋のテーブルに、毎日ちょうどいい時間にひょっこりとご飯が現れるんだ。  今日も朝起きたら、テーブルの上に僕が大好きなトーストとスクランブルエッグとサラダが置いてあった。  ほんとに嬉しいことだ。  でも少し不安に思ったりもする。  パパとママはこれからもずっと僕を育ててくれるのかな、と思う。  もし僕のことを忘れてしまって食べ物がなくなったら、僕はどうやって生きていけば(?)わからないから。  まあ今のところ愛情たっぷりに育ててくれて心配ないと思うんだ。  とりあえず今はご飯だけじゃなくて本もいっぱい送ってもらってるし、僕はこっちで一生懸命勉強して、もっと住みやすい天国を作りたいと思っている。  いつかパパとママが来たとき、一緒に楽しく暮らせるようにしたいから。                  おわり
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